2007年08月03日

『血まみれの月』ジェイムズ・エルロイ

血まみれの月

警部ロイド・ホプキンズ・シリーズの第1作。この連作は彼のL.A.4部作よりも前に書かれている。彼の作品としては、僕が知ってる限りでは、『秘密捜査』、『レクイエム』に続く3作目の長篇だと思う。当然L.A.4部作のあの異様な完成度は無いんだけど、すでに彼のモチーフとなる多くの要素が垣間見られて面白い。実はこれを読むのは2回目。この作品の続きに当たる『自殺の丘』、『ホプキンズの夜』を読む前に一応読んでおこうと思って読んだ。細かいところを忘れてて、また最初に読んだ時と今では着目する視点が違っているので、今回も面白かった。

(1998年 12月)
posted by zoetron at 13:03| 外国小説  | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『イン・ザ・ミソスープ』村上龍

イン ザ・ミソスープ

村上龍はこんなに凄いのに、なんでこんなにつめが甘いんだろう。彼が凄いのは、確かなのに例えばこの本は、結果的に彼がきっちり書き切らなかったせいで、凄まじい作品にはなって無いと思う。あんなふうに陳腐に動機付けして、あんな下らない結末を読まされたら、腹が立つ。半端に才能があるからたちが悪いよ。でも同時にこの本は日本を象徴してると思う。凄い物を作る潜在的な能力はあるけど、中途半端なためにどれもたいした結果を残さない文化。こんな作品に賞をあげてるようじゃ、評価する方も見る目がないね。僕が日本の最近の文学とか音楽とか文化的な物に触れなくなった理由をコンパクトな1冊に閉じ込めた本だった。蛇足だけど日本で凄いのはHALと一部のマンガ。

(1998年 12月)
posted by zoetron at 13:01| 日本の小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ジェイムズ・エルロイ『ホワイト・ジャズ』

ホワイト・ジャズ

ついに読み終わってしまった。寂しい。こんな気持ちにさせられるなんて彼のこのL.A.4部作は凄すぎる。この本の最後のページを読み終わったときには衝撃を感じた。この作家ほど人間を描いてる人がいるだろうか。クライム・ノヴェルの形を取ってるけれどこれは巨大な人間ドラマだと思う。4部作全体の中ではこの作品はエンターテイメント性を高く保ちながら非常に詩的な作品だった。最後の最後まで作家のモチーフが貫かれた作品だった。今回は一人の語り手によって話しが進んでいくという点で『ブラック・ダリア』に近いアプローチが取られていたけど、『ブラック・ダリア』が小説という形式にこだわっていたのとは対照的にこの作品は時にシナリオやコミック的なある意味アヴァンギャルドな文法が駆使されて、それがスピード感と、同時に独特の余韻を残す。4部作を通して通り過ぎって行ったキャラクター達に思わず気持ちが入ってしまい、読み終わった後も彼らの軌跡が心に焼き付いている。

(1998年 11月)
posted by zoetron at 13:00| 外国小説  | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ウィトゲンシュタイン』 ノーマン・マルコム著

ウィトゲンシュタイン―天才哲学者の思い出

最近よく思うのは自分の人生をどういきるか、と言うこと。考えたって始まらない、と言う人もいるけど、始まらない人もいれば、考えてヴィジョンを明確にするのが必要な人もいる。僕はヴィジョンを持つことを重要だと考える人間。大金持ちになること、名声を得ること、家族を持って自分の血を繋げていくこと、色々な選択枝がある。誰かに自慢するために人生は使いたくない。他人に優越感を持つために人生は使いたくない。僕には音楽があって、音楽に入れ込んでいる時が一番幸せだ。ウィトゲンシュタインは哲学に殉じた一生を送った。彼の生きていく動機はそういう意味で明確だった。でもその光はきっとあまりにも強くて、それ故に通常の人生からはかけはんれた一生を送った。自分の信じるものに純粋であろうとした彼の姿に感じるものがあった。

(1998年 11月)
posted by zoetron at 12:58| ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ジェイムズ・エルロイ『L.A.コンフィデンシャル』

LAコンフィデンシャル〈上〉 (文春文庫)

LAコンフィデンシャル〈下〉 (文春文庫)

『ブラック・ダリア』、『ビッグ・ノーウェア』に続くL.A.4部作の第3作目。この本はL.A.滞在中に読んだ。ミーハーだよね。でも僕はこの作家が大好きだし、どうせいく用事があるならこの際読もうと思って、持っていった。ハリウッド・ブールヴァード、サンセット・ストリップ、サンタ・モニカ・ブールヴァード、グリフィス・パーク、そして小さな無数のストリート。小説の舞台になってるのは50年代のハリウッドだけど、臨場感があって面白かった。これでL.A.4部作のうち3つを読み終えたけど、各小説に共通する登場人物や、前の小説の事件が一瞬顔を出したりこのシリーズはソウルフルでかつエンターテイメント性も高くて感心する。最も作者の純粋な思いがストレートに出てるのは第1作目にあたる『ブラック・ダリア』。彼が表現しようとしてる思いは彼のどの本にも共通してる。上手く言えないけどアウトサイダーに対する複雑な感情、愛情と憎しみ。それと虚無感というか無常観。この2つが彼のモチーフになってると思う。『ブラック・ダリア』は彼のモチーフがかなり色濃く出てる。『ビッグ・ノーウェア』はそのモチーフが娯楽性と絶妙なバランスを保ってて、僕は彼の作品の中でこの作品が一番好き。読了後、1曲作ってしまった。『L.A.コンフィデンシャル』はそのバランスが少し娯楽に傾いた作品だと思った。逆に映画化されるのは比較的納得する。内容について、誰かと話したいけど僕の知り合いで、この連作を読んでる人がいないのでこの気持ちをうまく分かち合えないのは残念。もしジェイムズ・エルロイに興味を持ったら、絶対『ブラック・ダリア』から読むべきだと思う。というわけで4部作最終作『ホワイト・ジャズ』を帰国後読み始めた。でもこれをよんでしまったらもうこのシリーズは読めないと思うと読み終わるのが怖い。こんな気持ちにさせられたのは久しぶり。まあこれを読み終えてもロイド・ホプキンズ・シリーズが3冊、『キラー・オン・ザ・ロード』というシリアル・キラーもの、『アメリカン・タブロイド』と彼の作品はまだあるからいいかな・・・。

(1998年 11月)
posted by zoetron at 12:56| 外国小説  | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ツタンカーメン』山岸涼子

ツタンカーメン (1) (潮漫画文庫)

やっぱり山岸涼子は凄い。あまりの美しい世界に絶句。同時にツタンカーメンを発掘するにいたる歴史が凄くドライに同時に幻想的に描かれてて、棺が設置してある部屋に入ったときはこっちも緊張した。また絵が繊細で無駄が無くて、素晴らしくスタイリッシュだった。僕に単行本を買おうと思わせる数少ない作家の一人。次は『妖精王』に着手。

(1998年 10月)
posted by zoetron at 12:54| 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

『ジャコ・パストリアスの肖像』ビル・ミルコウスキー

ジャコ・パストリアスの肖像

今この時期にこの本に出会えて良かった。様々な事が僕の周辺で起こっていて僕の人生の中でも大きな意味を持つ時期にこの本に出会ったのは偶然ではないだろう。僕は僕の生き方でこの与えられた生を生きていこうと改めて思えた本だった。彼の音楽に1度でも触れたことがある人なら本物の天才が持つ美しさを知ってると思う。僕は自分のやり方で自分の持つ才能を開かせていきたい。あと、破滅型の天才halをサポートしていきたいと思う。

(1998年 10月)
posted by zoetron at 12:52| ノンフィクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ジェイムズ・エルロイ『ブラック・ダリア』

ブラック・ダリア (文春文庫)

読むのは2回目。『ビッグ・ノーウェア』があまりに素晴らしかったので、これを再読してしまった。ディテイルどころか内容の大方を忘れてしまっていて、初めて読むような感じで楽しめた。次作にまたがって出てるキャラもいて興味深かった。次作で非常に重要な役割をすることになるキャラの描かれ方も面白かった。『ビッグ・ノーウェア』同様これも名作。早速L.A.4部作第3弾で映画化された『L.A.コンフィデンシャル』にとりかかろう。

(1998年 6月)
posted by zoetron at 12:49| 外国小説  | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

島本和彦『燃えるV』第3巻

燃えるV (1)

これは雑誌に連載されてるときにリアルタイムで読んだ記憶がある。初めて読んだときから島本和彦のことは大好きだった。極端で馬鹿馬鹿しくて切ないから。『スカルマン』の連載をきっかけにまた島本和彦熱が再燃し始めた。彼の作品を揃えたいなあ。江川達也とか絶対彼の影響受けてると思うよ。この作品ももう古本屋探さないと手に入らないだろうから全巻揃えるのは大変そう。

(1998年 6月)
posted by zoetron at 12:48| 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ねこぢる『ぢるぢる旅行記』

ぢるぢる旅行記 (総集編)

読んでて切なくなってしまった。この作品でねこぢるは、また絶好調になってたから。山野一の言葉があって、これまた切なくなってしまった。こういう時に言葉の無力さを感じてしまう。気持ちを言葉にしたとたん自分が言いたかったことからずれてしまう。彼女には曲を捧げよう。HALの“HIJACK” 

(1998年 6月)
posted by zoetron at 12:47| 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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