2007年08月03日

ジェイムズ・エルロイ『L.A.コンフィデンシャル』

LAコンフィデンシャル〈上〉 (文春文庫)

LAコンフィデンシャル〈下〉 (文春文庫)

『ブラック・ダリア』、『ビッグ・ノーウェア』に続くL.A.4部作の第3作目。この本はL.A.滞在中に読んだ。ミーハーだよね。でも僕はこの作家が大好きだし、どうせいく用事があるならこの際読もうと思って、持っていった。ハリウッド・ブールヴァード、サンセット・ストリップ、サンタ・モニカ・ブールヴァード、グリフィス・パーク、そして小さな無数のストリート。小説の舞台になってるのは50年代のハリウッドだけど、臨場感があって面白かった。これでL.A.4部作のうち3つを読み終えたけど、各小説に共通する登場人物や、前の小説の事件が一瞬顔を出したりこのシリーズはソウルフルでかつエンターテイメント性も高くて感心する。最も作者の純粋な思いがストレートに出てるのは第1作目にあたる『ブラック・ダリア』。彼が表現しようとしてる思いは彼のどの本にも共通してる。上手く言えないけどアウトサイダーに対する複雑な感情、愛情と憎しみ。それと虚無感というか無常観。この2つが彼のモチーフになってると思う。『ブラック・ダリア』は彼のモチーフがかなり色濃く出てる。『ビッグ・ノーウェア』はそのモチーフが娯楽性と絶妙なバランスを保ってて、僕は彼の作品の中でこの作品が一番好き。読了後、1曲作ってしまった。『L.A.コンフィデンシャル』はそのバランスが少し娯楽に傾いた作品だと思った。逆に映画化されるのは比較的納得する。内容について、誰かと話したいけど僕の知り合いで、この連作を読んでる人がいないのでこの気持ちをうまく分かち合えないのは残念。もしジェイムズ・エルロイに興味を持ったら、絶対『ブラック・ダリア』から読むべきだと思う。というわけで4部作最終作『ホワイト・ジャズ』を帰国後読み始めた。でもこれをよんでしまったらもうこのシリーズは読めないと思うと読み終わるのが怖い。こんな気持ちにさせられたのは久しぶり。まあこれを読み終えてもロイド・ホプキンズ・シリーズが3冊、『キラー・オン・ザ・ロード』というシリアル・キラーもの、『アメリカン・タブロイド』と彼の作品はまだあるからいいかな・・・。

(1998年 11月)
posted by zoetron at 12:56| 外国小説  | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする