
ついに読み終わってしまった。寂しい。こんな気持ちにさせられるなんて彼のこのL.A.4部作は凄すぎる。この本の最後のページを読み終わったときには衝撃を感じた。この作家ほど人間を描いてる人がいるだろうか。クライム・ノヴェルの形を取ってるけれどこれは巨大な人間ドラマだと思う。4部作全体の中ではこの作品はエンターテイメント性を高く保ちながら非常に詩的な作品だった。最後の最後まで作家のモチーフが貫かれた作品だった。今回は一人の語り手によって話しが進んでいくという点で『ブラック・ダリア』に近いアプローチが取られていたけど、『ブラック・ダリア』が小説という形式にこだわっていたのとは対照的にこの作品は時にシナリオやコミック的なある意味アヴァンギャルドな文法が駆使されて、それがスピード感と、同時に独特の余韻を残す。4部作を通して通り過ぎって行ったキャラクター達に思わず気持ちが入ってしまい、読み終わった後も彼らの軌跡が心に焼き付いている。
(1998年 11月)

